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最高裁判所第三小法廷 昭和29年(あ)3846号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人、被告人の弁護人成田篤郎、須藤静一、堀切真一郎の各上告趣意は末尾添附別紙記載のとおりである。

被告人佐藤恒二の上告趣意について。

所論は結局事実誤認、量刑不当の主張にすぎないので刑訴四〇五条適法の上告理由に当らない。

弁護人成田篤郎の上告趣意について。

所論は、原判決は刑訴四〇五条一、二、三号に違反すると主張するけれどもその実質は事実誤認、量刑不当の主張に帰し採用の限りでない。

弁護人堀切真一郎の上告趣意について。

所論は、結局事実誤認を基盤として量刑を非難するに帰し刑訴四〇五条適法な上告理由とならない。

弁護人須藤静一の上告趣意第一点について。

違憲の主張であるが、その実質は単なる訴訟法違反の主張にすぎず刑訴四〇五条適法な上告理由に当らない。(開廷後裁判官がかわった場合には、控訴審においても刑訴四〇四条、三一五条により更新手続をなすべきものである。しかして原審公判調書に依れば所論の如く細野判事は第一回公判期日に関与していないのに拘らず更新手続の行われた旨の記載がない。しかし同判事は昭和二九年四月三〇日の検証に立会いたる以来第二回公判より結審まで七回に亘り実体的審理に関与しているがその間被告人からも弁護人からも何等異議のあったことも認められないから右第二回公判期日に更新手続が行われなかったものとは認められない。かりに所論のとおり更新手続がなかったとしても、本件においては前記の如く細野判事は検証以来七回に亘り公判に関与しているのであるから右違法は主文に影響なく原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない)。なお原判決は所論引用の判例に違反抵触しているものとも認められない。

同第二点について。

所論は、原審において、主張判断を経ない事項であるから上告審において違法違憲を主張しても上告適法の理由とならない。

同第三点について。

所論は結局、量刑の非難に帰し刑訴四〇五条上告適法の理由に当らない。

また記録を調べても本件において刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 本村善太郎 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三)

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